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成功する会社経営に不可欠な要素とは

それ師を出だし軍を行るは、整をもって勝ちとす。賞罰明ならず、法令信ならず、これを金するも止まらず、これを鼓するも進まざるが如きは、百万の師ありといえども、用に益なし。いわゆる師を整える者は、居りては即ち礼なり、動き手は即ち威あり、進み手は当たるべからず、退きては逼るべからず、前後応接し、左右応旄し、ともにこれ危からず、その衆合すべくして離すべからず、用うべくして疲らすべからず。

(現代語訳)
軍の出動に当たり、統制を重視すべきである。統制が勝利のカギだ。賞罰が明らかでなく、軍令の徹底を欠き、金を打ち鳴らして後退を命じても後退せず、太鼓をたたいて前進を命じても前進しない。これでは百万の大軍を繰り出しても役に立たない。統制が取れている軍隊は次のような状態をいう。
(a) 平時において規律を保ち、戦時において期待通りの戦力を発揮する。
(b) 進撃させれば破竹の勢いを示し、後退を命じても敵に付け入るスキを与えない。
(c) 各隊が密接な連携のもとに一致協力し、困難の打開にあたる。
(d) 全軍一体となって行動し、敵の分裂工作に惑わされない。
(e) 戦意が旺盛で、敵の猛攻にもへこたれない。

(解説)
組織にも統制が必要である。アンリ・ファヨールという鉱山技師・経営者・経営学者がフランスにいて(1841年~1925年)、管理原則の父とも言われる。なお、ファヨールによれば、企業活動には以下の6つの活動があり、これらは企業の本質的な機能であって、どれか一つでも欠ければ企業は衰退し、死滅する可能性もあるとした。
(a) 技術活動(生産、製造、加工)
(b) 商業活動(購買、販売、交換)
(c) 財務活動(資本の調達・運用)
(d) 保全活動(設備および従業員の保護)
(e) 会計活動(財産目録、貸借対照表、原価、統計など)
(f) 管理活動(計画、組織、指揮、調整および統制)

なお、ファヨールは管理活動を他の5つの活動とは質的に異なると考えた。これは全般の管理を業務活動と区別したと解釈できる。また、管理活動の重要性を量的に示している。例えば、作業者層では85%が技術活動に注がれ、管理活動は5%程度であるが、それが上級職になるにつれて、管理活動の比率が大きくなり、社長では管理活動が50%を超える。当然企業の規模で管理活動は増えていく。当然のことながら、経験的に当てはめただけであり、厳密な裏付けがあるわけではない。とはいえ、上級職や大規模組織であれば、管理活動の重要性が増すことは常識的に理解できる。

さらに管理活動を重要視し、『管理とは、計画し、組織し、指揮し、調整し、統制するプロセスである。』と定義した。20世紀初頭の考え方であるが、今の組織とまるで違いはない。

また、ファヨールは管理の一般原則として、次の14の管理の原理を示した。
(1) 分業
(2) 権威と責任:命令する権限と、それに伴う責任
(3) 規律
(4) 命令の統一(一元化):特定の業務の担当者は、必ず単一の管理者の指揮命令を受けるべき、とする原則。
(5) 指揮の統一:目的をもった組織は、1人の管理者の下、1つの計画の下に業務遂行すべき、とする原則
(6) 個人利益の全体利益への従属:企業全体の利益は個人の利益よりも優先する
(7) 公正な従業員報酬
(8) 集権:環境に応じ、許される限り(程度)において管理者に権限を集中すべき、とする原則。
(9) 階層組織:権限と階層の構築
(10) 秩序:適材適所の確保
(11) 公正
(12) 従業員の安定:技能の習得には時間がかかるので、長い目で見守り、頻繁な人事異動は控えるべき、とする原則
(13) 創意(イニシアティブ):計画を立案し、実行すること。組織のすべての階層にその自由を与えることで、士気を高める。
(14) 従業員の団結

その他、諸葛亮の兵法においては、統制に加えて、チーム全体でモチベーションの高い状態を築く重要性を挙げている。

[教訓]
〇企業経営には統制、チーム一丸、モチベーションが重要と言える。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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