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ビジネスにおいて攻めるときと守るとき

古のよく闘う者は、必ず先ず敵情を探りて後これを図る。およそ師老れ糧絶え、百姓愁怨し、軍令小習にして、器械修まらず、計先に設けず、外救至らず、将吏刻剥にして、賞罰軽懈し、営伍次を失い、戦い勝ちて驕るは、もってこれを攻むべきなり。賢を用い能を授け、糧食羨余にして甲兵堅利、四隣和睦し、大国応援するが如き、敵に惟あらば、引きてこれを計る。

(現代語訳)
昔から戦争上手な将軍は、敵の状況を探ってから戦うか否かを決める。敵が以下のような状況にあるときは戦うべきときだ。
(a) 敵が長期の遠征に疲れ、食料も欠乏しているとき
(b) 敵国の人民が遠征の負担に苦しんでいるとき
(c) 敵の軍令の徹底を欠いているとき
(d) 敵の武器や攻城用具が不足しているとき
(e) 敵が一貫した作戦計画を持たないとき
(f) 敵が救援がなく、孤立しているとき
(g) 敵の幹部将校が兵をいたわらないとき
(h) 敵の賞罰がでたらめであるとき
(i) 敵の軍全体が統制を欠いているとき
(j) 敵が戦いに勝っておごり高ぶっているとき

敵が以下のような状況にあるときは戦ってはならない。
(a) 敵に懸命にして有能な人材が登用されているとき
(b) 敵の食料が余剰十分であるとき
(c) 敵の武器や装備が優れているとき
(d) 敵が諸国と友好関係を保っているとき
(e) 敵に大国が後押しをしているとき

(解説)
敵の内情を知ることは、現代ビジネスにおいては容易ではないが、当時はスパイを使っていたので知ることができたのであろう。上記の事からどのような組織を目指したらよいかということは見えてくると思われる。

まずはスタッフに休養を十分に与えること。当然生活費以上の給料を支払うこと(但し能力や成果に応じては当たり前)。指揮命令系統が絶対であり、部下は上司に絶対服従していること。タブレット等ビジネスで用いるツールは原則会社支給であること。ビジネスプランにブレがないこと。外部支援者を確保していること。財務体質の強力な企業のサポートであればなおよし。インセンティブ制度が明瞭で公平であること。組織全体にゆるみがないこと。まず事業を推進する上で社内の環境が整っているかどうかを確かめよう。社内基盤が固まっていなければ、ビジネスの推進力は下がる。

[教訓]
〇事業は外部環境の状況も重要だが、内部環境の整備もまた重要である。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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