それ兵を行るの勢に三あり。一に曰く、天。二に曰く、地。三に曰く、人。天の勢とは、日月清明にして五星度を合し、彗孛殃せず、風気調和するなり。地の勢とは、城嶮しくして重崖、洪波千里、石門幽洞は羊腸にて曲沃たり。人の勢とは、主聖にして将賢に、三軍礼に由り、士卒命を用い、糧甲堅備なり。良く将たる者は、天の時に因り、地の勢につき、人の利に依る。即ち向かうところ敵なく、撃つところ万全なり。
(現代語訳)
戦争に勝つためには、有利な態勢を整えなければならない。それには次の三つのことに留意する必要がある、
天の時:日月、五星が姿を現し、不吉な彗星が出現せず、風気の調和するタイミングを言う。
地の勢:険阻な絶壁を巡らし、広々とした江海によって隔てられ、容易に敵を寄せ付けない地形を言う。
人の利:君主、将軍が共に賢明で、兵卒は軍律を守って命令に服し、十分な食料と堅固な防具に身を固めている状態をいう。
優れた将軍は、天の時、地の勢、人の利に依拠して戦いに臨む。だから戦えば必ず勝つ。
(解説)
ビジネスにはタイミングが必要だ。しかしそのタイミングをどのように見計らったらよいかというと非常に難しい。まずは始めようと思ったときに始めて見て、軽くドアを小突いてみる。そうしたときにすぐに開けば、それがタイミングだ。ハンマーを持ってきてドアをこじ開けなければならないときはタイミングではないから、そういうときにはしばらく待機で良いだろう。定期的に何度もドアを小突いてみる、これが大切。小突くための財務的な体力を持っていることが重要。後は已むに已まれず始めざるを得ないときがあるが、こういうときにも実はタイミングとしてはよいものだ。自分ではタイミングがわからない。外部の力で一押ししてもらっているときはタイミングと言ってよい。
ビジネスにはポジショニングが重要だ。自社が強みを持っていて、それが簡単に真似のできないようなものであれば、いいポジションにいると言ってよい。補給ができることを前提にすれば、山の上から下る勢いを使うことができる。勢いの出るような場所を探すこと。案外、自分やスタッフのやる気マックスになるようなビジネスが、勢いの出るビジネスと言えることもある。
スタッフに生活費は払っていることは当然として、自分たちと同じ方向を向いているスタッフに恵まれれば鬼に金棒だ。入社時には経営理念やビジョンを話し、共に歩んでくれそうな人を募集しよう。大切なことだが、休みとかお金にばかリが気になる人は最初から同じ船には乗せない方がいい。
[教訓]
〇ビジネスが上手く行く三要素は、タイミング、強みのあるポジショニング、そして経営陣と同じ方向を向くスタッフの存在だ。