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強みがあれば、モノは売れる

螫虫の触るるは、その毒を負えばなり。戦士のよく勇なるは、その備えを恃めばなり鋒鋭く甲堅なるは、人、戦いを軽んじるゆえんなり、故に甲堅蜜ならざるは、肉袒に同し、射よく中たらざるは、矢なきに同し。中たりても入るあたわざるは、鏃なきに同し。探候謹ならざるは、目なきに同し。将帥勇ならざるは、将なきに同し。

(現代語訳)
蜂やさそりが敵を恐れないのは、その武器である毒針を頼みにしているからである。それと同じように兵士が勇敢に戦うのは、防御の堅固なることを頼みとしているからだ。鋭利な武器、堅固な甲冑、このために兵士は勇敢に戦うのである。甲冑が堅固でなければ、裸で戦うのと同じである。矢を命中させることができなければ、矢を持たないのと同じである。命中させても深く刺さらなければ、鏃がないのと同じである。物見を置かなければ、目を持たないのと同じである。将軍に勇気がなければ、将軍がいないのと同じである。

(解説)
強力な強みがあるから、自信をもって販売できるのであって、強みがなければモノは売りづらい。以前、あるキャリアの代理店の名前を使って、固定電話機を販売していた会社があった。しかしそのキャリアとの契約が切られて、その名前が使えず、別のキャリアの商材を販売しなければならなくなったが、自社の名前で営業しなければならなくなり、一気に営業力のなさが露見した。

その会社の営業がそのキャリアの名前を強みとしており、その会社の販売力に強みがあったわけではない。こんなのでも上場できてしまった(その後上場廃止)のだが、売上の落ち方が凄かった。改めて自社の中に確実な強みを持つ必要性を感じさせた。他人のふんどしで土俵に上がってはいけないのだ。

甲冑なしで裸で戦う状況になって、実は強くなかったから壊滅状態に陥ったわけだ。また商材は持っていたのだが、その商材を的に命中させる能力もない。これは商材を持っていないのと同じことだ。もっともその商材も所詮他社製品である。どこの会社でも契約で切れば販売できるわけだから、その会社は販売代理店としての営業ノウハウを強みとしなければならなかったはずだ。

その会社の社長は営業能力も高かったし、度胸もあったから、その会社から追い出されて、また自社で営業会社を立ちあげて頑張っている。社長の中には優柔不断というか、ビビりがいる。ビビりと慎重は違う。しかし傍から見ているとどちらも変わらないように見える。慎重かつ大胆に度胸をもって意思決定せよ。周りは観ている。

[教訓]
〇強みは当然ながら自社の中に置け。
〇ビビりと慎重は異なるが、旗から見ているとあまり変わらない。慎重かつ大胆に度胸をもって意志決定せよ。それが代表としての役割だ。

この記事を書いた人
経営学博士。経営学は座学より実学をモットーに大学院在学時より、サラリーマンで修業。一部上場企業の財務、メガバンクでの不良債権処理、 上場支援、上場後の投資家向け広報、M&A、事業承継等を経験。 数千の経営者と身近に接することが多く、数多くの成功例や失敗例を見てきた。 一人でも多くの成功者を輩出することが自らの天職と考え、現在は独立し、起業家に対して、ファイナンスやマネジメントまわりのサポートを行っている。 起業家モチベーター。
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